▶選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)について
2024年11月07日
緑内障の治療は点眼薬や手術が基本ですが、近年、選択的レーザー線維柱帯形成術(Selective Laser Trabeculoplasty: SLT)という低侵襲のレーザー治療が注目されています。先のコラムで新たな緑内障手術についてご紹介しましたが、今回は、緑内障に対するレーザー治療法の一つであるSLTについてお話したいと思います。
SLTの仕組み:緑内障とは、眼球内の房水という液体がうまく眼外に排出されず、眼圧が上昇することで視神経がダメージを受け、視野欠損をきたす病気です。SLTは、房水の出口である線維柱帯という部分にレーザーを照射し、房水の排出機能を改善させ眼圧を下げる治療法です。
SLTの特徴とメリット:【 低侵襲性】 SLTはメスなどを使ういわゆる「手術」ではなく(保険診療上は手術の扱い)、非常に低出力のレーザーを用いる為、周囲の組織にダメージを与えることはほとんどありません。レーザー照射時の痛みもほとんどなく、外来で5~10分程度で行えることも魅力です。【再治療が可能】他のレーザー治療法と異なり、SLTは再治療が可能です。2~3年で効果が減弱するとされていますが、繰り返し治療を受けることができるため、長期的な治療計画の一環として活用できます。【薬物療法との併用】 緑内障の治療は通常点眼薬が中心ですが、薬が効かない、副作用が強いなどの場合には代替手段としてSLTが有効です。点眼薬を使う頻度や種類が減ったり、場合によっては点眼薬を全く使わずに眼圧をコントロールできることもあります。
リスクと限界:SLTは比較的安全な治療法ですが、全くリスクがないわけではありません。一時的に眼圧が上昇することや、目の炎症が起こることがあります。また、SLTを施行されたすべての方に効果があるわけではなく、2割程度の方は効果が限定的です。
SLTの適応:【初期から中期の緑内障の方】 点眼薬の代わりや補助的な手段として効果的です。点眼薬を長く続けるよりもSLTのほうがコスト的に抑えられることもあります。【薬物療法に反応しない方】 眼圧が薬ではコントロールできない場合、SLTは有力な代替手段です。【点眼薬の副作用を避けたい方】緑内障点眼薬は眼刺激感や乾燥、眼周囲の色素沈着、アレルギー、喘息を誘発する場合がありますが、SLTにはこれらの副作用はありません。
まとめ:SLTは侵襲が少なく、再治療が可能であることから、多くの緑内障患者様にとって負担の少ない治療法といえます。もちろん、すべての方に有効な治療ではありませんが、今後の緑内障治療における有用な選択肢の一つとなり得るものと思います。この度、当院でも本治療法を導入いたしましたので、ご興味のある緑内障患者様は当院医師に是非ご相談ください。(文責;副院長)